なぜ単純な足し算にならないか
TDPは発熱設計の指標であって、瞬間的な消費電力の最大値ではない。とくにGPUは、平均消費電力を大きく超える短時間のピークを発生させる。ATX 3.x でこの過渡電力への耐性が規格として定義されたのは、規格以前の電源がこのピークで保護回路を作動させ、負荷の高い場面で突然電源が落ちる事例が広く発生したためである。容量に余裕がある電源でも、ピークに耐えられなければ落ちる。
容量を決めるときの実際の順番
- 使うGPUのメーカー公表「推奨システム電源容量」を確認する
- CPUの Maximum Turbo Power(またはPPT)を確認する
- GPUの補助電源コネクタの種類と本数を確認する(変換ケーブルを常用しない前提で選ぶ)
- ATX 3.x 対応かどうかを確認する
- ケースに収まる奥行きかを確認する
「余裕を何W取るか」は各社の推奨容量にすでに織り込まれている。推奨容量を下回る選択をしないことが先で、闇雲な上積みはその後。
効率認証は電気代ではなく発熱と静音の話
80 PLUS の等級は変換効率の認証で、等級が上がるほど同じ出力での損失=発熱が小さくなる。等級差で回収できる電気代は小さいが、発熱が減ればファンの回転数が下がり、結果として静かになる。等級を上げる判断は、電気代ではなく静音性と熱設計の観点でするほうが納得しやすい。