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ゲームのfpsが出ない・カクつくときの切り分け手順

トラブル解決執筆: nanfps 編集部

fpsが出ないとき、いきなりパーツの買い替えを検討するのは順番として最後です。買い替えが正解だったとしても、どのパーツを替えるべきかは切り分けをしないと決められません。上位のGPUを買ったのに何も変わらなかった、という結果はここを飛ばしたときに起こります。

この記事では、確認する順番どおりに手順を並べます。上から順にやってください。後ろの手順は前の手順の結果を前提にしています。

症状を2つに分ける

最初にやるのは、症状の分類です。原因の候補がまったく違います。

  • A:常に重い — 最初から最後までfpsが低い水準で安定している
  • B:普段は出ているが落ち込む — 平均は高いのに、数秒おき、または特定の場面でカクつく

Aは構成と設定に対して負荷が過大な状態で、設定と頭打ちの切り分けに進みます。Bは一時的に何かが詰まっている状態で、メモリ・ストレージ・温度・バックグラウンド処理を疑います。

判断がつかない場合は、平均fpsと1% lowを両方記録してください。平均も1% lowも低ければA、平均は高いのに1% lowだけ大きく落ちていればBです。フレームタイムを記録できるツール(PresentMon など)があると、落ち込みが何回起きたかまで見えます。

ポイント計測せずに進めない

「なんとなく重い」の状態で設定をいじると、変えたことによる差なのか気のせいなのかが判別できません。切り分けの前後で同じシーンを測り、数字で比べてください。

手順1:設定を既定に戻す

意外に多いのが、過去に変更した設定が残っているケースです。以下を確認します。

  1. ゲーム内の画質設定を一度プリセット(中〜低)に戻す
  2. 解像度が意図した値になっているか確認する(モニタの解像度と一致しているか)
  3. GPUドライバ側で全体に掛けている設定(アンチエイリアシングの強制など)を既定に戻す
  4. Windowsの電源プランが省電力側になっていないか確認する
  5. ノートPCなら、電源アダプタが接続されているか確認する

ここでfpsが大きく回復するなら、原因は設定であって構成ではありません。プリセットから1項目ずつ戻していけば、どの項目が重いのかが特定できます。

手順2:どちら側で頭打ちになっているか調べる

症状Aの場合、次に調べるのはCPU側とGPU側のどちらが上限になっているかです。ここを間違えると、買い替えても変わりません。

ボトルネックの基本データ

Bottleneck
GPU側で頭打ちの目安
GPU使用率が高いまま張り付き、CPU使用率に余裕がある
CPU側で頭打ちの目安
GPU使用率が上がりきらず、特定のコアだけ高負荷になる
解像度との関係
解像度を上げるとGPU負荷だけが増える解像度を上げてfpsが変わらないならCPU側で頭打ちの可能性が高い
VRAM不足の場合
使用率ではなく、急な落ち込みとテクスチャの表示遅れとして出る
出典: Intel Corporation (GameTechDev) ボトルネックの詳細ページ →

やり方は単純です。解像度だけを1段階上げて、同じシーンで測り直します。画質設定は動かしません。

結果意味次にやること
解像度に比例してfpsが下がるGPU側が上限画質・アップスケーリング設定を見直す
ほとんど下がらないCPU側が上限バックグラウンド処理を止める、CPU側を疑う
GPU使用率が上がりきらず、fpsも低いGPU以外が詰まっている手順3以降へ

解像度だけを動かすのは、解像度がGPU側の負荷にほぼ限定して効くからです。画質設定を同時に変えると、この判別ができなくなります。

GPU側が上限だった場合

負荷を下げる順番には効率の差があります。画質の低下あたりのfpsの戻りが大きい順に手を付けてください。

解像度とアップスケーリングの基本データ

Resolution and Upscaling
フルHD(1920×1080)
約207万画素
WQHD(2560×1440)
約369万画素フルHDの約1.78倍
4K UHD(3840×2160)
約829万画素フルHDの4倍
DLSS
NVIDIA。GeForce RTX シリーズで動作
FSR
AMD。ソースが公開されており、ベンダーを限定しない世代がある
XeSS
Intel。Arc では XMX 経路、他社GPUでは DP4a 経路で動作
  1. アップスケーリングを有効にする(内部解像度が下がるため効きが大きい)
  2. レイトレーシング関連の項目を下げる、または切る
  3. 影・アンビエントオクルージョンなど、重い項目を下げる
  4. テクスチャ品質は、VRAMに余裕があるかぎり最後に下げる

なお、フレーム生成は表示上のfpsを増やしますが、内部解像度を下げる超解像とは別の仕組みです。操作の反映が速くなるわけではないので、「重い」の解消手段としては超解像を先に試してください。

手順3:メモリとストレージを疑う

症状B(普段は出るのに落ち込む)で最も多いのがここです。

メモリ規格(DDR4 / DDR5)の基本データ

Memory Standard
DDR5 標準動作電圧
1.1V
DDR4 標準動作電圧
1.2V
DDR5 のデータレート
JEDEC規格では 3200 MT/s から定義
DDR5 の構成
1モジュールを独立した2つのサブチャネルに分割
DDR5 の電源管理
電圧レギュレータ(PMIC)をモジュール上に搭載
定格を超える動作プロファイル
Intel XMP / AMD EXPOいずれもJEDEC規格の定格外。適用は自己責任

メモリ容量は足りているかぎりfpsをほとんど左右しませんが、足りなくなった瞬間に、平均ではなく落ち込みとして現れます。ゲームと同時に録画・配信・ブラウザを動かしている場合は、それらを止めた状態で同じシーンを測り直してください。差が出るなら容量か、CPU側の取り合いが原因です。

ストレージ側では、次を確認します。

  • ゲームをインストールしているドライブの空き容量
  • そのドライブが起動ドライブと同じか別か
  • 場面の切り替わりでテクスチャの表示が遅れていないか

読み込みが追いつかない場合、落ち込みは「移動して新しいエリアに入った瞬間」に集中します。落ち込みのタイミングに規則性があるかどうかは、原因の絞り込みに使えます。

新しく組んだ直後なら、定格に戻す

組み立て直後や、メモリを増設した直後に不安定になった場合は、XMP / EXPO を無効にして定格に戻し、再現するかを確認してください。これらはJEDECの標準定格を超える設定にあたり、モジュールとマザーボードとCPUの組み合わせによっては安定しないことがあります。定格で安定するなら、原因はプロファイルの適用です。

手順4:温度と電源を疑う

ここまでで解決しない場合、次は熱と電力です。

負荷を掛け続けたときだけ遅くなる、あるいはしばらく遊ぶと落ちるという症状は、温度によって動作クロックが下げられているか、電力が足りていない可能性があります。

TDPと電源容量の基本データ

TDP and PSU Wattage
Intelの表記
Processor Base Power / Maximum Turbo Power従来のTDPに代わる呼称。実際の上限は Maximum Turbo Power 側
AMDの表記
TDP / PPT(Package Power Tracking)
GPU側の指標
各GPUメーカーが製品ごとに「推奨システム電源容量」を公表
電源の規格
Intel ATX / ATX12V 電源設計ガイド(ATX 3.x)
変換効率の認証
80 PLUS(Standard / Bronze / Silver / Gold / Platinum / Titanium)
過渡電力への耐性
ATX 3.x はGPUの瞬間的な電力超過に対する耐性要件を定義
出典: Intel Corporation TDPと電源容量の詳細ページ →

重要負荷の高い場面で電源が突然落ちる場合

GPUは平均消費電力を大きく超える短時間のピークを発生させます。容量に余裕があるように見える電源でも、この過渡電力に耐えられなければ保護回路が働き、電源ごと落ちます。ATX 3.x はこの耐性を規格として定義しているため、規格以前の電源を使っていて負荷の高い場面だけ落ちる場合は、電源側を疑う理由があります。
また、GPUの補助電源コネクタが奥まで完全に挿さっていない状態は、接触部の発熱につながります。異常な発熱や焦げた臭いがある場合は、通電を止めて挿し込み状態を確認してください。

温度側では、次を確認します。

  • ケースのフィルタとファンにほこりが溜まっていないか
  • CPUクーラーのファンが回っているか
  • ケース内のエアフローが、吸気と排気で成立しているか
  • 高負荷時のCPU・GPU温度をログで記録し、落ち込みのタイミングと一致するか

温度と落ち込みのタイミングが一致するなら原因は熱です。一致しないなら別を探します。

手順5:ソフトウェア側の要因を消す

最後に、ゲームとハードウェア以外の要因を消します。

  • GPUドライバを最新版にする(改善しない場合、直前の安定版に戻して比較する)
  • Windows Update を適用する
  • ゲーム側のファイル整合性チェックを実行する
  • オーバーレイ機能(配信ソフト、チャットソフト、GPUベンダーのオーバーレイ)を一時的に全部切る
  • 常駐しているセキュリティソフトのスキャンが動いていないか確認する

オーバーレイは複数重なると相互に干渉することがあり、切って改善するなら、必要なものだけ順に戻して原因を特定できます。

それでも解決しないとき

ここまでの手順で、少なくとも「どこが上限になっているか」は分かっているはずです。買い替えを検討するのはこの後です。

判断の材料としては、手順2で得た結果がそのまま使えます。GPU側が上限で、設定を落としても目標fpsに届かないならGPUが候補です。CPU側が上限で、バックグラウンドを止めても改善しないならCPUとマザーボード、そしてメモリ規格まで含めた入れ替えになります。CPUを替えるとソケットとメモリ規格の制約が同時に付いてくるため、GPU単体の交換とは費用の桁が変わります。ここは切り分けの結果を持ってから決めてください。

参考文献・出典

  1. PresentMonIntel Corporation (GameTechDev)
  2. Power Supply Design GuideIntel Corporation
  3. JEDEC Solid State Technology AssociationJEDEC
  4. Intel Product Specifications (ARK)Intel Corporation

この記事で使った判断基準

この記事を書いた人

nanfps 編集部

PCパーツの仕様は各メーカー・規格団体が公表している一次資料のみを参照し、フレームレートは計測条件を明記できるものだけを扱っています。参照した資料は記事末尾にすべて明示し、実測していない性能の序列付けや、出典を示せない数値は書かない方針で運営しています。

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